屍病
だけど、その楽しい時間はあっという間に終わりを告げたんだと、私は気付かされてしまった。


本殿に向かう時は気付かなかったけど、大きな木の下。


そこに、私をいじめているグループがいたのだから。


慌てて顔を逸らそうとしたけど、向こうも私に気付いたみたいで。




「あらあら、こんな所に薄汚いドブネズミがいるわね」




そんな声が聞こえて来たのだ。


「マジ? なんか臭いと思ったら。せっかくの祭りが台無しじゃない。害獣は駆除しなきゃね」


茂手木唯乃(もてぎゆいの)高下葵(たかしたあおい)


くすくすと笑って、私を指さす。


「ん? ドブネズミなんているの? どこにもいないよね。何言ってるんだろあいつら」


真倫ちゃんがキョロキョロと辺りを見回し、首を傾げる。


ダメだ……私と一緒にいると、真倫ちゃんまでいじめられてしまうかもしれない。


そう考えて、私は真倫ちゃんに返事をせずに、屋台の方に歩き出した。


「ドブネズミは……どこかに行け!」


高下達と一緒にいた三人の男子、桐山祐也(きりやまゆうや)畠山博文(はたけやまひろふみ)前田雅也(まえだまさや)の中のひとり、前田が足元にある石を拾い上げ、私に向かって投げ付けたのだ。
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