屍病
準備室の窓から、生徒玄関の方を見てみると……生徒玄関や職員玄関のガラスは無事。


となると、別の場所ということになる。


まさか、高下さんが八つ当たりして割ったなんてことはないと思うけど。


違うとなれば、イーターが割って入った可能性が高い。


「嘘でしょ……真倫ちゃんも雄大もいない時に」


皆が帰ってくるまで、逃げ回れば助かるかもしれないけど、それだと何も知らない帰って来た3人が襲われてしまうかもしれない。


心臓がバクバクと音を立てている。


私がやるべき最善の行動。


それは、侵入してきたイーターを殺して、割られたガラスの穴を何とか塞ぐこと。


もしもできないにしても、帰って来た3人にイーターが侵入したことを伝えなければならない。


どこにいるかもわからないイーターから逃げ回って、本当にそんなことができるのかどうか。


いや……もしも、高下が今の音に気付いていなかった場合。


気付いていたとしてもイーターに遭遇してしまった場合。


襲われる危険性がかなり高い。


この状況で高下に呼び掛けることはできないから……やっぱり私がなんとかするしか方法がないんだ。
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