屍病
上体を起こし、フライパンを吐き出したイーター。


このままだとすぐに食べられて殺されてしまう!


「歯ガ……折れちゃっタ。デもまダ食べらレる!」


歯が折れたと言っても二、三本で、噛みつかれれば肉を食いちぎられることは明白。


再び覆い被さるように牙を剥いたイーターを防ぐ為に、今度はフライパンの内側を向けて防いだ。


ギャリギャリと、金属に歯が擦れるような音が聞こえる。


上手く、食べられないように受け止めたけれど、こんなその場しのぎの方法ではもたない!


「誰か……誰か助けて!」


この学校には私と高下しかいない。


その高下もどこに行っているのかわからない。


もうダメだと、諦めそうになったその時だった。








「……イーター。唯乃を殺したやつだ」







「!?」


その声がした方を向くと、高下が私が落とした包丁を拾い上げて見下ろしていた。


暗くてその表情はわからないけど、その声には何か強い力のようなものを感じる。


「肉!肉肉肉肉ぅっ!!」


イーターは私に夢中で、高下に気付いてないのか。


このフライパンがなかったら、とっくに私は死んでいる状況だ。
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