屍病
「お前らさえいなければ……唯乃は死なずに済んだんだ! 何が肉だ! 私達はお前らの食糧じゃないっ!」


包丁を逆手に、高下がイーターに駆け寄る。


そして、私に覆い被さっているイーターの頭部目掛けて、その包丁を思い切り振り下ろしたのだ。


「はヒぇっ!?」


バキッという、骨が砕ける音と共に、フライパンを持つ手に衝撃が加わった。


人間と同じなら、これでイーターは死ぬはずだけど……高下がその手を緩めることはなかった。


「お前らが! 私の友達を! 死ね! 死ね死ね死ねっ!」


包丁を引き抜き、さらに振り下ろす。


ジャクッ、ジャクッと、私の上に乗るイーターの身体を伝って、私まで刺されているかのよう。


「た、高下さん! わ、私がいる! 怖い、怖いよ!」


「死ね!死ね死ね死ね死ね死ね死ねっ!」


何かに取り憑かれたかのように、一心不乱に包丁を振り下ろすその姿は、鬼気迫るものを感じる。


イーターもぐったりしていて、既に死んでいるというのがわかる。


それでもなお、包丁を振り下ろすことを止めない。


何分間そんなことが続いただろうか。


荒い呼吸音が聞こえて、高下の動きが止まった。
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