屍病
「はぁ……はぁ……ところであんた、なんでこいつの下にいるわけ?」


もしかして気付いてて今まで刺し続けたわけ?


助けてもらってなんだけど……酷いよ。


「ガ、ガラスが割れる音が聞こえて、イーターがいるかもしれないって探してたら。教室の中から出てきて押し倒されたんだよ……」


上に乗っているイーターを退かして、身体を起こすけれど……高下がやりすぎたせいか、服が血で真っ赤だ。


「教室の中からって……もしかして、唯乃!?」


血塗れの私を放って、慌てた様子で教室の中に入った高下。


なんだか、茂手木には色々言われていたけど、高下は茂手木のことを大切にしていたんだな。


いじめていた相手なんて気にしないだろうけど、こんなになってる私のことを、少しくらい気にしてほしいもんだよ。


「あぁ……ゆ、唯乃……」


恐らく、というかほぼ確実に、茂手木はこのイーターに食べられただろう。


どんな姿になっているかは、見ていないから私にはわからない。


だけど、酷い姿になっているんだろうな。


ベタベタと気持ち悪い血に塗れた状態で立ち上がった私は、割れた窓の向こうにいる高下を見た。
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