屍病
そんなに大きな石ではない。


けれど、私はそれを避けることもできずに。


ガンッと、頭の中から音が聞こえて、私はよろめいてその場に倒れ込んだ。


「バ、バカ! やりすぎだお前!」


「た、高下が駆除しろって言うから」


桐山と前田の声が聞こえる。


「な、何するんだよお前ら!」


突然の出来事に、真倫ちゃんが声を上げた。


一瞬、気を失いそうになったけど、頭を押さえて立ち上がると……その手に、ヌルッとしたものが付いていることに気付いた。


右手を見てみると、真っ赤な血が付いていて。


「お、おい。血が出てんじゃねぇか」


畠山が、私の血を見て引いたような声を出した。


「大丈夫だって。おじいちゃんに言えば、こんなことくらいどうとでもしてくれるよ」


悪びれる様子もなく、高下がそう言った瞬間、私は逃げるように神社の奥の方に走って逃げた。


「あ、愛莉!? ちょっと……お前ら、絶対に許さないからな!」


神社の横の方へと走り、登山道の近くまで走って私は屈み、頭を押さえて涙を流した。


どうしてこんなことをされなきゃならないのか。


ただ、真倫ちゃんとお祭りを楽しみたかっただけなのに。
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