屍病
ハッキリと言われちゃったよ、嫌いって。


だからいじめられていたんだろうけど、そう言われたことはないからちょっとショックかな。


「あんただけじゃどうしようもないでしょ! 私がいないと、あんたまで食べられちゃうじゃない」


「え、それじゃあ一緒に見てくれるの?」


高下が一緒に来てくれるとは思いも寄らなかったけれど、今の状況でこれほど心強いものはない。


「勘違いしないでよ。これ以上、こいつらの良いようにはさせたくないだけ。私は、友達を殺したこいつらを絶対に許さないんだから」


怒りと憎しみか。


自分が嫌いだから、気に入らないから、その感情を他者にぶつける。


そうしていじめられていた私には、それは奇妙な感じがしたけれど、今はそんなことを考えている暇はない。


イーターに食べられることを考えたら、高下のいじめなんてマシかもしれないから。


こんなことにならなければ、こう思うことすらなかっただろうな。


ずっと高下や茂手木を恨んで、死にたいけど死ぬ勇気が持てなくて、私は腐っていたかもしれない。


今までのことを許したわけじゃないけど、今はそのことは考えないでおこう。


私達が生きるために。
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