屍病
「なにそれ。つまり、人間が人を食うようになっただけってこと? じゃあ中には人を食わないベジタリアンもいるかもね」


怖いのを隠そうとして言っているのか、それとも本心なのか、高下の言動はわからないことが多い。


まあ、わかっていたら私もいじめられずに済んだかもしれないけど。


第一理科室、第二理科室と調べ終わって、残すは準備室だけとなった。


調べるうちに緊張感が薄れてきたのか、なんてことのない会話をするようになってきたし、本当にイーターがいるならとっくに襲われていてもおかしくはない。


さっきのイーターだけだったのかなと思いながら、私達は準備室に足を踏み入れた。


ビーカーやフラスコ、アルコールランプといった道具が置かれた棚、何に使うのかもわからないような器具が置かれた乱雑な部屋だ。


「うわ……埃っぽい。そう言えば掃除の時間にもここは掃除しないよね。芹川さんは掃除してるの見たことある?」


「いや、ないけど……」


ここに来た目的は、部屋の中の物を観察するためじゃない。


窓が割られていないかを調べるためだ。


そう思って窓の方を見てみると……割れている。


イーターの侵入経路はここからだった。
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