屍病
「高下さん、ここだよ、イーターが入って来たのは。でもどうしよう。窓を塞ぐのは良いけど、ここを塞いでも他の窓を割られたら意味がないよね」


冷静になって考えてみると、窓なんて薄いガラス一枚だ。


普段生活していると、それでも十分守られていると錯覚してしまうけれど、あっという間に割られてしまうし、イーターが相手では大した防御力なんてないことがわかる。


生徒玄関のガラスくらい厚ければ、もしかしたら侵入は出来ないかもしれないけど。


「放っておけば? イーターが中に入って来ても、殺せばいいだけでしょ。あいつら皆、殺してやるんだから。唯乃を殺したやつらを、私は絶対に許さないから」


高下がそう言ってくれると心強いけど、この変わりようはなんだろう。


茂手木に噛み付いたイーターは杉山先生で、その杉山先生を真倫ちゃんと雄大が殺してしまったから、イーター全てに怒りを向けているような。


やり場のない怒りがそっちに向いているような気がして、私は聞かなくてもいいことを聞いてしまった。


「もしも……もしも、この悪夢みたいな状況が終わって、元の世界に戻ったら……そうなったら、また私をいじめるの? その怒りは私に向くの?」


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