屍病
いじめられたから嫌い。


それはどんな時でも変わらないだろうけど。


そんな嫌な人でも、今は生きるために必要な仲間になってしまった。


私を助けるためではないにしても、結果的にイーターを殺して私を助けてくれた。


その高下に対して、私は自分の不満だけを口にして。


しかも、大切な友達を失った直後に。


「ほら、何してんの? 来ないなら置いて……」


高下が部屋を出る間際、振り返ってそこまで言った時。


どこに潜んでいたのか、人影が高下に牙を剥いて飛び掛かったのだ。


「!?」


反応が遅れて、左腕を上げて防御しようとした高下。


牙がその腕をかすめて、そのまま押し倒されてしまった。


「美味シい! 美味しイ血の味ガするぅ! 食わセロ! その肉食ワせロ!」


「ひっ! は、離れろ! 離れろよっ!」


高下は必死にイーターを押し返そうとするけど、その力は凄まじくて。


私も押し倒されたからわかる。


反撃なんてできないくらいに力が強くて、絶望を感じてしまうことを。


包丁を持っていても、反撃に出ようとしたら最後。


きっと押し切られて噛み付かれてしまうのだ。
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