屍病
「愛莉、大丈夫? ほら、傷を見せて」


私の後を追って来てくれた真倫ちゃんが、背中をさすってくれるけど、それ以上の悲しみで泣き止むことができない。


「なんで! なんで私がいじめられなきゃならないの!? 私、何も悪いことなんてしてない! こんなのが続くなら、昨日死んでた方がよかったよ!」


泣きわめく私の背中を、真倫ちゃんはただ優しくさすってくれて。


「大丈夫。私がいるから。ほら、顔を上げて。愛梨は可愛いんだから、ずっと泣いてちゃ可愛いのが台無しだよ」


ボディバッグから、ポケットティッシュを取り出して傷口を拭く。


「もう無理……高下さんに目を付けられたら、こんな目に遭うんだよ。もう、死にたいよ」


「高下か。あいつのじいちゃん、この町の有力者だからね。学校でもやりたい放題だし、先生も下手に口出しできないって話だよ」


そう、高下が気に入らなければ、その取り巻き達も一緒になっていじめ始める。


一年生の時には、気に入らない先生を追い込んで辞めさせたほどだ。


「でもね、私は愛莉には死んでほしくないよ。だって、私が一番好きな友達だもん。大丈夫、私が愛莉を守るから」


「う、うわぁーん! 真倫ちゃん!」

つらい毎日を送っている私に、真倫ちゃんのその言葉はさらに涙を流させた。


私は真倫ちゃんに抱き着いて、そのまましばらく泣き続けた。
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