屍病
「ま、まずい! バレたぞ! 逃げる準備をしろ! だから俺はこんな子供なんて助けるなって言ったんだよ!」


桐山がそう言うと同時に立ち上がり、教室の方に向かって駆け出した。


イーター達が、ガラスに張り付いて、一斉にドアを叩き始める。


厚いガラス……とはいえ、こんなにいるイーターに叩かれ続けたら、割られてしまうのは明白。


既に、ガラスにヒビが入り始めていた。


「桐山の言う通りか! ここは一旦逃げるしか……」


「ちょっと待って雄大くん! ここでこいつらをどうにかしないと、私達は追い詰められる! やるしかないよ!」


高下が、包丁を握り締めて、立ち去ろうとする雄大を止めた。


ここで止めなければ、私達はどこかの教室に立てこもるしかなくなってしまう。


そして、その教室もいつまでもつかわからない。


でも、この数のイーターと戦えるの!?


一人殺すだけでも、私と高下ふたりがかりだったのに!


「冷静に考えろ! 桐山が逃げてしまったから、ひとり三匹のイーターを殺さなきゃならないんだぞ! そんなの出来るはずがない!」


「考えるまでもないよ! 早く逃げなきゃ、逃げる前に殺される!」


雄大と真倫ちゃんの言っていることが正しい。


この状況で、とてもじゃないけどイーターを全員殺すことは不可能だと思ったから。
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