屍病
「だから生徒玄関で食い止めようって言ったのに!」


こうなると予測していたわけではないだろうけど、今となっては高下の発言は間違っていなかったのかもしれない。


再び生徒玄関の前まで走った私達は、ついにその音を聞いてしまった。


ガシャン! と、ドアのガラスが割れる音が聞こえた。


「お、俺が鍵を取ってくる! 三人でイーターを引き付けておいてくれ!」


雄大がそう言い、職員室に走る。


女の子だけ残して行くなんて……と、普通ならそう思うかもしれなかったけれど、雄大はこの中で一番足が速い。


加えて、真倫ちゃんはバットを、私はフライパン、そして高下は包丁を持っている。


最低限の護身用の武器を持っているから、上手くやればイーターの2、3人くらいは殺せそうでもあったから。


私と真倫ちゃんがイーター達の正面に立つと、イーター達がその割れたガラスから次々と中に入って来た。


「う、上手くやるしかないよ! 愛莉、高下! って、高下!?」


高下の姿が……ない!?


まさか、こんな状況に陥って、逃げ出したんじゃ。


ここでイーターを食い止めるって提案した人がいなくなるなんて、考えもしなかった。
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