屍病
「美味しソうナ女の子ガ、ひトり、フたリ。いたダキまス! イタだキます!」


下足箱と下足箱の間を通り、侵入した3人のイーターが私達に向かって走り出した。


「さ、三匹同時とか!」


バットを構える真倫ちゃんも、さすがに複数相手だとどうにもならないのか、手が震えている。


今回ばかりはもうダメだと、私もフライパンを握り締めて震えていた時だった。


突然、下足箱が倒れてイーターを下敷きにしたのだ。


「ぐエッ!」


そこまで重くはない下足箱。


でも、イーターを食い止めるには十分な物で、先頭のイーターも、腕と頭を出した状態で廊下に倒れていた。


一体何が起こったのか、わからないでいる私と真倫ちゃんの前に、高下が駆け寄って。


倒れたイーターの頭部に、なんの躊躇もなく包丁を突き立て、さらにそれをグリッと捻ったのだ。


「た、高下?」


驚いた様子で声を漏らした真倫ちゃんに、高下が立ち上がって口を開いた。


「こいつら全員を同時に相手する必要なんてないでしょ。一匹ずつ相手にすればどうにかなるよ」


確かに言ってることは間違いではないけれど、次々と中に入って来るイーター。


下足箱の下にいる2人を合わせて、5人は既に侵入していた。
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