秘書清水が見た、冷徹社長の初恋

「お久しぶりです。どうかされましたか？」　

「清水は今、どこぞの会社で秘書をしていたな？」

「はい。そうですが……」

「俺は今度、会社の社長に就任することになった」

だから何だというのだ……
面倒ごとでないといいが……

「そこで、信頼のおける秘書をつけたいのだが、うちの会社には、俺の望む人材がいない」

ここまで言われれば、その先はわかる。というか、薄々思っていたことが、確信に変わっていく。
おもわずゴクリと喉を鳴らした。

「清水。お前、うちに来て俺の秘書をやれ」

〝やってくれないか？〟でも〝やって欲しい〟でもなく、〝やれ〟と言うところが春日らしい。相手に遠慮がないのなら、こちらも遠慮する必要はない。