秘書清水が見た、冷徹社長の初恋
「自分で言うのもなんですが、私は仕事ができるので、今の会社でもそれなりのポジションにいます。私を引き抜きたいのでしたら、それ相応の報酬をご用意ください」

「ふん。おもしろい。清水らしいな。お前ができるやつだということはよくわかっている。給料は、今の1.5倍出そう。その代わり、俺の手となり足となり、存分に働いてもらう」

1.5倍といううまみ以上に、〝俺の手となり足となり〟の部分がひかかる。でもまあ、文字通りなんだろう。

正直、今の職場は恵まれた環境だ。しかし、安定の中に退屈さも感じていた。
春日の元でなら、プライベートな時間は大きく削られるだろうが、それ以上に充実した時間をすごせるだろうと、容易に想像がつく。

「わかりました」

「交渉成立だな」

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