探偵I(タンテイアイ)【第2巻】
「椋介、今日は俺が全部おごるから」
「いやいや、……駄目だよ泰平!」
「今日は、俺におごらせてくれ……」
と、泰平はお会計をしに、椋介はトイレへとそれぞれ席を立って移動をした。
お酒にかなり酔っているせいで視界も頭も凄くぼんやりとしている泰平。
仕様人Kが急いでリモコンを取り出して数字の82を入力をし実行ボタンを押した。
その店の女性店員に扮している仕様人K、レジでお会計の準備をしている。
足元がふらふらで眠そうに目をとろとろさせている泰平が財布の中からクレジットカードを取り出してちらつかせている。
「お会計は現金ですか?カードですか?」
「もちろん、カードで!一括でお願いします」
「百万五千円になります」
「はい」
大きな金額に驚きの表情を浮かべることもなく泰平が慣れた指で暗証番号を打ち込み、支払いを済ませる。
「ありがとうございます!」
泰平が後ろを向いた隙に仕様人Kが意味深な笑顔を浮かべてさっと姿を消した。
椋介が小さな紙切れを持って泰平のもとにやって来た。