探偵I(タンテイアイ)【第2巻】
「──もしもし……、探偵Iさんですか」






探偵Iが握る受話器から聞こえてきたのは、か細い感じがするかすれた若い女性の声だった。






「はい、そうです。私が探偵Iです。まず、お名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」











「渡辺 紗永(わたなべ さえ)です」






「渡辺 紗永様。では、続いてご質問を一つしてもよろしいでしょうか?」






「はい」






「この探偵事務所を、どうやって知りましたか?」





「以前、……パソコンで目にしました」






「だいぶ、前ですか?」






「いえ。……ちょっと……前です」






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