探偵I(タンテイアイ)【第2巻】
「ありがとうございます。では、御依頼の内容は──?」
「あの、……知りたいんです」
「──何を、ですか?」
「元彼から最後にもらったプレゼントです。彼が本当に選んで買ってくれた物なのかを知りたいんです」
「なるほど、わかりました──」
探偵Iが瞑想をするかのように静かに両目を瞑った。
「じゃあ、まず目をつぶってください。そして、元彼から最後にもらったプレゼントを頭に思い浮かべてください」
受話器を握って、静かに目を瞑る紗永。
しばらくしてから、探偵Iがバシッと目を開いた。
「うーん、ありがとうございます。よく、わかりました」
「御依頼を受けるにあたっては、まずパターンが二種類ございます。
一つ目は、当探偵事務所に全てをまかせる。
二つ目は、渡辺様が今の状態になっているように元彼にも同じようになって頂きましょうか。
渡辺様の何か御希望があればその通りにいたしますが……。
いかがいたしましょう──?」