お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。《追憶編》
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「メル。今日は、すごい数の人ね。」

「えぇ。王が国をあげて開催している舞踏会ですから。」


いざ会場に着くと、ルシアはゲストたちの視線を釘付けにした。

ミ・ロヴァの一点ものを着ているということもその理由だが、一番はやはり彼女の美貌と漂う品であった。

側でエスコートするメルも今夜はドレスと対になる燕尾服を着ており、胸元のタイピンはローズピンクだ。


城で開かれた今夜の舞踏会は、今まで参加した中で一番大きな規模の祭典であった。

ちらり、と辺りに視線を移すと、我が国の王と談笑しているようすの若い青年が見える。彼の名はリューデ。隣国のロージアン国の第一王子で、最近ラティエという妻を娶ったと情報を聞いた。

彼は王位継承権がある中で第一候補である上に、他の王子たちはヘタレばかりで、王や国民からの期待が集中しているそうだ。

しかし、外交力も統率力もあるようだが、性格はあまりいい噂を聞かない。…まぁ、人の上に立つ者なら少々我が強いほうがいいのかもしれないし、甘やかされた王族ならそれもおかしくない話なのだろうが。

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