涙は海に捨てて〜さよなら、大好きだった人〜

時は大航海時代。人々は船を使って世界を巡り、航海は人々にとって欠かせないものとなっている。

しかし、海の上にも悪い人間は存在する。貿易船などを海賊が襲ったりするのだ。そのため、航海に行く前には人々は「海賊に襲われませんように」と祈りを捧げたりもする。

そんな中、人々の味方となってくれる海賊が現れた。悪い海賊を倒して海の平和を守っている。その名は、海賊アレス。

その船が今どこに向かっているのか、陸の上にいる人々は誰も知らない。



「海賊だ〜！！」

その悲鳴が響いたのは、世界の西にある大国のチェルヴェニーの港街だ。港にいた人々は、不気味なドクロの旗を風になびかせた海賊船の姿を見るやすぐに逃げ出す。その海賊船は、海賊の中でも恐れられる海賊フェニキスのものだ。

「海賊……！！少佐、私が戦います！少佐は応援を呼んでください！」

港街にたまたまいた女性の海軍兵士が上司に言う。美しいブロンドの髪を束ね、海軍の制服を着こなす彼女はすぐに腰から軍刀を取り出した。