涙は海に捨てて〜さよなら、大好きだった人〜

「海賊アレスは我々の味方だ。貴様らのように暴力を使って支配しようとはしない」

テレサがそう言うと、グレンは腰から銃を取り出す。そして銃口をテレサに向けた。しかし、そんなものでテレサは怯んだりしない。

「遊んでやるよ。海軍の女なんて珍しいからな」

「……好きにしろ。私がお前を捕まえる」

グレンの言う通り、軍隊に女性がいることは珍しい。女性の仕事といえば、何かのお店の店主や家庭教師などが一般的だ。

テレサがこの職を選んだのは、父が海軍兵士だったことと答えているが、実はそれよりも大きな理由がある。

パンッ！！

グレンの放った銃弾を素早く避け、テレサはグレンに一気に近づく。テレサの振り下ろした剣をグレンは受け止め、ニヤリと笑う。

「きちんと訓練されているんだな……」

「私は遊びで海軍に入ったんじゃない。貴様らのような悪を捕らえるために入った」

一旦二人は離れ、互いに睨み合う。そして数秒おいてまた攻撃を開始した。