転生したら異世界だったので、とりあえず平民やってたのですが。
「ドロボウよ!捕まえて!」


(ドロボウ!?捕まえないと…!)

急いで振り返ると、大きな袋を抱えた男が私のすぐ後ろまで迫っていた。


「どけっ!」

「退くわけないでしょ!?」


仁王立ちで男を睨みつけた時、私の前に誰かが立ち塞がった。背の高い男の人で、綺麗なブロンドの髪が、サラサラと揺れている。


「…汚らわしい」


静かな声で呟くと、男の人はドロボウを投げ飛ばした。飛んでいくドロボウを見て、周りの人達はぽかんと口を開けていた。


道の端に倒れたドロボウから袋を取り上げ、ブロンドの男の人はドロボウを押さえつけた。


「くそっ…」

「騒ぐな。耳障りだ」


男の人は、虫でも見るような目で騒ぐドロボウを睨みつけた。

(…こんな時にあれだけど、あの人、何処かで見た事があるような気がする)


「何処だっけ…?」


頭を捻って考えていると、男の人と目があった。


「おい、女」


(…え、私?)
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