雨が嫌いな雨女
涼真はバツが悪そうな顔をしている。

「涼真、この子、誰?」

一緒にいた女の子が、涼真に声を掛ける。

「ただの後輩さぁ」

涼真の言葉を聞くと、愛智は学校とは反対方向に向かって走り出した。

「あんた、最低だね」

歩夢は涼真を睨むと、愛智を追い掛けた‐。

愛智は学校から少し離れた場所で、うずくまって泣いていた。

「…っ、ひっく…先輩、ひどいさぁ」

泣いている愛智の髪の毛を、歩夢は優しく撫でる。

「いつからあの人と付き合ってたのかな…」

「愛智ぃ、忘れた方がいいよ」

「…嫌な事がある時は、決まって雨さぁ」

愛智は空を睨んだ。
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