ホームズの子孫には秘密がある
「最近、お二人がどこか変な気がするんですが……」

一度、勇気を出して言ってみた。しかし二人は顔を見合わせて私の頭を優しく撫でる。

「そんなことないよ〜」

「たまたまだ。気にすることはない」

二人はそう言っていたけど、なんだか怪しい。何が起きているのか知りたい。そんな思いが私の中でどんどん膨らんでいった。

そして、ホームズさんとルパンさんの勝負の日がやって来た。ホームズさんは朝からマンロー邸に行き、警察も大忙しだ。レストレード警部やグレッグソン警部も休む暇なく警護に当たっているんだろうな……。

私とワトソン先生は、朝から夕方まで診療所で仕事をこなして家に帰る。犯行予告時間は夜の十時と言っていたから、ワトソン先生は間に合うはずだ。

「ワトソン先生、事件現場には行かないんですか?」

夕ご飯のさわらのアクアパッツァを作りながら私が訊ねると、ワトソン先生は「行かないよ」と答える。

「どうしてですか?」

「和香を一人にできない」
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