rain
ぐらりと体が傾く


……
……




「………つむぎ」

「…………こー、くん……」



私を引っ張ったのは

まだ寝惚け眼のこーくん


横になったまま
倒れた私を器用に抱き留めて


「………大丈夫だから」


まだ半分、意識は夢の中みたいで
こーくんはぼんやりとしてる


だけど私が泣いてるからか

熱で倒れたあの時みたいに反応が早くて



かけてた毛布を

ふわりと私に被せて

包み込むように私を抱き締める



全身すっぽりと毛布にくるまれた私は

その下から涙目でこーくんを見上げた



段々と意識がはっきりしてきた様子のこーくん

あやすように私の頭を撫でる



「俺が傍にいるから」

「…」

「雷なんかより
俺の音、聞いて」



目の縁に溜まった涙を指先で拭った後
こーくんはぐいっと私の顔を自分の胸元に寄せた




…………とくんとくん、と



穏やかな心音が耳に響く




「……」




まだ雨は止まない


雷も鳴ってる


耳に痛い嫌な音は続いてる



だけど



「……こーくん」

「うん」

「……もっとぎゅってして」

「いいよ」



力強く抱き締められて


大好きなこーくんの匂いと

落ち着く体温と、心音に包まれて



私はすっかり安心して




「…」




そのまま眠りに落ちた


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