rain
…………だ、抱きついちゃだめだった?


鴻鳴君のぬくもりが気持ち良くてつい……


何かに葛藤するような表情を浮かべてる鴻鳴君に
私は内心ですごく焦る



「……あの、鴻め……」

「ごめん。
……結構…………理性ぎりぎりだから
しばらくそっとしておいて」

「…………へ……」


呼び掛けを遮って
鴻鳴君はぎゅっと目を瞑ると、黙り込んでしまう



……



『好きな子に触れられたら
当然、色々したくなるよ。男だし』


『でも毎回そうだと
つむぎちゃんが大変だから理性で抑えてる』



……いつか

倖お兄ちゃんが言ってた言葉を思い出して


…………顔に熱が集まっていく



もしかしなくても


……鴻鳴君、今かなり私に触れたいって思ってる?



まるで心頭滅却するように
じっとそのまま固まる鴻鳴君を見つめて


私は



「……鴻鳴君」

「…うい、だから今はー……」



……



鴻鳴君の言葉が止まる


……私が、鴻鳴君の唇を塞いだから



「…」



目を開いた鴻鳴君は

ものすごく驚いた顔で私を見て



言葉を失ってる

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