rain
寿人さんの腕の中はあったかくて

寿人さんの匂いに包まれると安心する



「……」


無言で寿人さんの背中に手をまわす

いつもされるがままで自分からこんな風に
求めるように寿人さんに触ることはあまりないから

寿人さんは少しだけ目を丸くして


だけど


すごく嬉しそうに表情をほころばせる






「いろは」



寿人さんの胸に顔を埋めた私

ふいに名前を呼ばれて顔をあげれば



ちゅっと額に柔らかい感触



「……」



そこから唇を離した寿人さんは
ぽかんとする私を見て、穏やかに笑う



「好きだよ」



……
……
……



「~~~~っ!!?」



愛おしそうに向けられた「好き」に悶絶する



遅れてやってきた恥ずかしさ

ぶわっと全身に熱が走って

慌てふためく私



そんな私を眺めて
寿人さんは機嫌良さそうに笑う



「いろはのそんな顔
見れるの俺だけだよね?」

「……っ」

「いろはにとっても俺は「特別」なんだよね?」

「………………そんなの…あたり前です」



小さく答えれば
寿人さんは更に笑みを深めて



「…」



何かに気付いたのか一瞬だけ視線が逸れた



けど、すぐに私に視線を戻して




「……え!?」




屈んだかと思えば、そのまま私を抱き上げて
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