rain
「…」


まだ重いまぶたを持ち上げ、時計を確認
目を見張る


「!」


……寝過ごした…っ

ほんの少し眠るだけのつもりだったのに…


わたわたと慌てて起き上がって


「……あれ……?」


段ボール箱の中に子猫の姿がないことに気づいて、さぁっと青ざめる


ど、どこに…っ?!


きょろきょろと部屋の中を見渡して
入口のドアが小さく開いてる事に気付く


慌てながらリビングへ向かう







「ただいま。ひなたちゃん」


「…いつきさん…
お、おかえりなさい…」


リビングのソファーにいつきさんと


「にー」


そのいつきさんの膝の上で丸まっている子猫


「…」


子猫に近付いて、ほっと安堵の息をつく


「……よかった…」


しゃがみこんで
そっと子猫の頭を撫でれば
甘えるように手にすり寄ってくる



「玄関開けたら
この子が出迎えるように座っていたから
ひなたちゃんが猫になったのかと思ったよ」


くすくすと面白そうに笑ういつきさんに
はっと我に返る私


「…あ…
えと…ごめんなさい…勝手に拾ってきちゃって…」


事情を話せばいつきさんは
大丈夫だよ、と笑った
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