rain
「姉さん達にお願いして
里親になってくれる人を探して貰ってるので」

「見つからなかったら、うちで飼う?」

「…いいんですか?」

「ここ、ペット可だし
それに…」



「この子、ひなたちゃんに似てるから」


膝の上にちょこんと丸まる子猫を
優しい目で見下ろしながら
いつきさんはまた口元を緩める


「え?」

「雨に濡れて、動けなくなってた所とか
軽すぎる小さな身体とか」



……あ…


シャワー中に倒れて
いつきさんに助けて貰った事

細すぎるから
食べられるようにならなきゃね、と言われた事を思い出す



「それから…」



いつきさんが身体を撫でれば
子猫は気持ち良さそうに目を細め
ごろごろと喉を鳴らす



「すごく可愛い所とか」



愛おしそうに放たれた言葉に


速まる心音



「…ひなたちゃん?」



いつきさんの隣にすとんと座って
その肩にもたれ掛かれば
いつきささんは不思議そうに私を見た



「……私も、撫でて貰いたいです」



少し躊躇いがちに呟いて
いつきさんを見上げれば

不意をつかれたように目を丸くして


でも



「……相変わらず
こっちの猫さんは甘え下手だね」



嬉しそうに表情を緩ませて
いつきさんは私の頭を優しく撫でた



「にー」



同じように撫でて貰いながら



同意するように子猫が鳴いた
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