rain
★2
開いたドアの先に


びっくり顔の秋鳴



「ごめん、秋鳴。雨宿りさせて」

「……お前、馬鹿かよ
こんなどしゃ降りの中、傘なしで外に出るとか」



全身びしょ濡れの私を見て
一瞬、放心してた秋鳴

だけどすぐに我に返って


「とりあえずあがれ
で、風呂行け」


取ってきてくれた大きめのタオルを私に被せて
お風呂場を指差す


「うん、ありがとう」


私はありがたくその厚意を受け取った




……
……



「ほら」


お風呂からあがると
秋鳴があったかい飲み物を用意して待ってくれていた


「ありがとう」

「ったく、バイト先で傘借りるなり
雨止むまで待ってりゃ良かっただろ
連絡寄越せば迎えに行ったし」

「出たときはまだ雨降ってなかったの」


バイトの帰り道
ぽつぽつ降りだしたなって思ったら
瞬く間に雨が勢いを増して

そこから近かった秋鳴の家に避難した


「あ~あったまる~」

「髪、ちゃんと乾かせって」


マグカップの中の飲み物を口にして
ほっと息をつく

そんな私の背後にまわると
秋鳴は半端に乾かしたままの私の髪の毛を
タオルでわしゃわしゃと拭った


「雨、明日の朝までやばいらしいから
今日は泊まってけ」

「いいの?」

「ああ」

「じゃあ、お言葉に甘えようかな」

「飯は?」

「バイト先で食べてきた」
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