そして、君に恋をした


ある日、赤井さんが近づいてきて私の筆談用のノートを勝手に開いて書き始めた。




【私の大好きな人を取られる気持ちが少し、わかった?】




私は取ってなんか……、いないのに。




声を出して、すぐにそう言い返したかった。




……できなかった。





喉の奥に強く力を入れれば声が出そうな気がするのに。




……できなかった。




悔しかった、悔しかった、悔しかった……。


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