そして、君に恋をした
私のお兄ちゃんは今京都にいる。
大学一年生。
いつも、心が許せる存在で私の話し相手だったお兄ちゃん。
遠い場所に行ってしまった。
大学の近くの学生寮で住んでいる。
背が高くて、優しい。
私が困った顔をしているといつも然り気無く助けてくれる。
そんなお兄ちゃんが頼りで大好き。
私のお母さんが太宰さんを呼んだ。
長男の雅弥(まさや)は今京都の大学に通っていて卒業をするまでこの家に帰って来ないの、だから、この部屋を暫く使うといいわと部屋を案内した。
身長も体格もお兄ちゃんと似ている太宰さん。
タンスの中にある雅弥の服や下着も適当に使って着ても良いからねと気前のいいお母さん。
「すみません、僕みたいな人間が勝手にここに来てしまって……」
太宰さんが申し訳なさそうに、何度も詫びた。
お兄ちゃんが使っていた部屋、私の真隣なんだけど。
太宰さんが隣の部屋にいるというだけで、何だか妙に緊張する。