そして、君に恋をした
私の父親が仕事を終えて夜遅くに家に帰ってきた。
「あー、明日の出張の俺の荷物はもう出来ているのかな?」
台所にいる母親がエプロンで手を拭きながら振り返った。
「あなたの旅行鞄に必要な物はもう全部詰めておきましたよ」
「ああ、ありがとう」
母親は父親の夕飯の支度をしながら太宰さんの事情を父親に話をしていた。
父親は太宰さんを見て。
母親と同じようなことを言った。
「文豪作家と同姓同名の人がいるんだな」
父親が陽気に笑った。
「もう一人息子が増えたようで、嬉しいよ」と、父親が太宰さんにビールをついで乾杯をした。
こうして、私達の新しい生活がスタートした。