そして、君に恋をした
●二日目
──二日目・(水曜日)。
早朝、父親は出張で青森へ出掛けた。
そして、今日から私の嫌いな二学期の期末試験が始まった。
国語、美術、数学。
一応、白紙は埋めてきたけれど。
全部、平均点よりもきっと下だろう。
だって、テスト勉強はしていないから。
私はテストの点はそれほど気にしていない。
それよりも、早く家に帰りたかった。
昨日は、泥を投げつけられた。
今日もまた何をされるのかわからない。
教室の前の戸を一番に飛び出るように開けて、家まで走って帰ってきた。
振り替えると意地悪な笑顔がちらほら見えた。
──怖い!怖い!怖い!
足がすくむ。
だけど、真っ直ぐに走った。
別に急ぐ用事もないのに──、
あるような顔をして帰ってきた。
午後十二時半、「おかえりなさい」と口を大きく動かして迎え入れてくれたのは太宰さんだった。
昨日会ったばかりの太宰さんは、もう何年も前からこの家に住んでいる人のように馴染んでいた。