そして、君に恋をした
夕飯時になった。
冷蔵庫の扉を開けると冷蔵庫の中はほとんど空だった。
豆腐が六丁ある。
安いと買いだめをするのがお母さんの癖だ。
太宰さんが言った。
【今晩は、湯豆腐にしましょう】
【今日は寒いし、ちょうど良いですね】
晩御飯がすぐ決まった。
太宰さんは湯豆腐の作り方には拘りがあるみたいで、全てを任せた。
太宰さんが作った湯豆腐を一口食べると止まらなくなった。
【あんまりにも美味しそうに食べるから、僕の分も少し食べるといいよ】
【本当に、いいの?】
【はい、いいですよ】
【ありがとう──】
湯豆腐、こんなにも胃袋を満たしてくれる物だとは驚いた。
傷ついた心に湯豆腐の温もりがしみこんでいく。
こんなに美味しい湯豆腐を作ってくれた、太宰さんに感謝しています。