そして、君に恋をした
午後二時。
家に到着。
家に帰るのが少し遅くなった。
玄関の扉を開けるとすぐにお母さんが顔を出した。
もう京都からお母さんは帰っていたんだ。
私よりも、早いね……。
『令奈、おかえり』
『……ただいま』
『遅かったね』
『うん、図書館、よってたから……』
『一人で?』
『……違う』
『誰と一緒だったの?』
『あの……、クラスが一緒の西川くん』
『いつからなの?』
──何、何、何が?
『……えっ!?何が?』
『西川くんと、つき合っているんでしょ?』
『……そんなんじゃないから』
お母さん、
もう、これ以上、私に質問をしてこないで──。
急いで靴を脱いで、玄関から上がった。
きっと、お母さんの事だから口から大きな声を出しながら、手で手話をしていたに違いない。
誰かに聞かれたりでもしたら、私どうしたらいい?
母親をうまくすり抜けて、直ぐにドンッと人とぶつかった衝撃を受けた。
あっ、痛っーい!
頭を擦りながら顔を上げた。
私がぶつかったのは太宰さんだった。
もしかして、話、全部、ここで聞いてた?
目線を合わせようとすると、目が泳いでいる太宰さん。
……太宰さん?
どうしたの。
【台所の机の上にお母さんが作ってくれた令奈のお昼ご飯があるよ】
太宰さん、何だが様子が変だよ。
……ちょっ、ちょっと……
どこに行くの
太宰さん。
あっ、あー……、太宰さん、自分の部屋に入っちゃった。