そして、君に恋をした

また、インターホンが鳴った。



今度こそ、今度こそ、絶対に令奈だ。



玄関に向かおうと必死に急いだ。




しかし、僕よりもお母さんの方が早かった。




令奈のお母さんが、先に、玄関にいた。




僕は決して盗み聞きをするつもりじゃなかった。



令奈の顔を一目見たかった。




一目見て、安心をしたかったんだ。




令奈がコーラを一気飲みした時の日のように……。



頬に涙の跡を付けて帰ってきていないのか、心配で。




令奈のお母さんの声は良く通る。



少し離れた所にいても、僕の耳に良く聞こえる。



令奈が図書館に行っていたこと。



クラスが一緒の西川くんが一緒だったこと。



西川くんとつき合っているのか……?



その後がわからない。



その先がどうなっているのか、僕にはわかりにくい。




そこを知りたい。





西川くんとつき合っているのか、つき合っていないのか。




令奈本人には直接聞きづらい。




きっと、仲が良いから一緒に図書館に行ったんだろう。



まだ会ったこともない、顔も知らない西川くんに少し嫉妬心が芽生えた。



僕の令奈と一緒に図書館に行って……。




と、思っていると。




令奈が勢い良く僕の体にぶつかってきた。




僕がぼさっとこんな所に立っていたからいけないんだ。





令奈、ごめんよ。




かわいそうに何度も頭を擦っている。


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