あたしが髪を切ったわけ
「ああ、じれったい。要するに」

「はい?」

「部長の奴がおミツに夢中だってことよ」

「はい?」

 急に言われたので何の意味だかわからんかった。うーん、やっぱあたしにぶいのかな・・・

「ほんとーに、にぶいねぇ、惚れてるってこと、好きだってことだよ」

「えっ?」あ、あたまが真っ白。

 確かに少しは不自然だなとは感じていたけど、そこまで具体的には意識していなかった。

 そんなこと、一言「あっそう?別に」でうけながしちゃえばいいのに、なんだかあたし、そのときは返す言葉が出なかった。

 現実のことなのに、ぜんぜん現実感がない。

 なぜだろう。

 奴の女の子のような顔が浮かぶ。た、確かに面食いの気はあるけれど・・・

「そうなのよ、実は2人とも、もう出来てるっていう話まであるの」

 まぁ、楽しそうにトモは・・・とにかく。
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