あたしが髪を切ったわけ
 水球のまわりには深海魚のような鳥のような昆虫のような生物らしきものが数匹群れている。

 イメージ的には『生、混沌たる世界からの自我の誕生』といったイメージから『死、混沌たる世界への自我の一体化』といったイメージに変わっている。

 題名はない。描き始めたときから浮かんでこなかったからつけなかった。

 他にも無題の作品は多い。部の展示会なんかのときもつけないでいる。

 無題の作品に無理に題をつけるとそれだけでイメージが色褪せ、限定されたものになってしまうからだ。

 無題のものに題をつけないのは正しい、題名が浮かんでこないと言うのはその絵が題名を望んでいないということなんじゃないのかという気がするから。

「ふむふむ」

「おっ、青の使い方がいいな」

「ほう、あいかわらずな・・・」

「うまいなぁ、ミーヤ」

 四者四様の反応。

 美術部に入って4つ目の作品だ。

 うーん、満足。
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