あたしが髪を切ったわけ
「やっぱり変な絵だけど、おもしろいな。うん、おもしろい」

 こいつは・・・でも何か気にいったみたい。うーん、口は悪いけど、やっぱ、いい奴なのかもしんない。

 結局その日は五人でわいわいあたしの絵をだしにお喋りして、終わった。

 途中で、あたしたちの話し声が大きかったのか、いつも準備室に籠っている顧問の小田先生が珍しく出てきて、あたしの絵を見てくれた。

 小田先生は冴えないおっさんだが、なかなか凄い絵を描く。

 あたしが描く絵より抽象に近い。確か、池森先輩が師と仰いでいたな。

 皆で話している最中、結局あたしは奴とまともに顔を合わせることができなかった。まったく、妙な噂を広めおって、これじゃ、変に意識しちゃうじゃないの。
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