あたしが髪を切ったわけ
 じろっと冷たい視線を池森先輩に向けてる。なんか少し怒ってるみたい。なんとなーく、事情が判ってくる。

 そうだった。その前にさっきの疑問を聞いとこ。

 あたしは、事情が判ってきて、今にも池森先輩に突っ掛かりそうなエッちゃんの右肩をちょいちょいっとつついて声をかけてみた。

「ねぇねぇ、エッちゃん?」

「んっ?あによ、おミツ」

「アノサ、さっきから気になってたんだけど、エッちゃんと池森先輩って」

「ああ、そのこと?付き合ってるわよ。まぁ正確には付き合ってやってるってとこかな」

 ふーん、そうだったのか。気が付かなかった。にしても、あっさり言うねこの娘は。

「へぇ、そうなんだ」

「あんまり驚いてないね。別に隠してたわけじゃないけど、一応知られてなかったんだけどねぇ」

「そう?」

「相変わらず。そういうことに関してはドライなんだかにぶいんだか」

「ふーん、ところでさぁ」

 今日はいい天気だな。ちょっと風が強いけど。ぽかぽかして・・・もう春なんだな。

「あによ?まだ何かあるの?」

 あたしはエッちゃん越しに男ども2人がなにやらごそごそ話し合い、折り合いが着いたのか、握手を交わし終わったのを指差して言った。
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