あたしが髪を切ったわけ
「なんだか、決着ついたみたいよ」

「?」

 くるっとエッちゃんが2人に向き直る。

 おっ、いい香り、シャンプー変えたな。

「ああ、エツ子嬢、おまたせ。話はついたからそろそろ行きましょう」

 丁度こっちに振り向いた池森先輩が、目の前のエッちゃんに軽く右手を上げて言った。

 何か動揺している感じがするのは、恐らくエッちゃんの顔のきつさのせいだろうな。

 こわいぞー、エッちゃん怒らすと。

 それで結局、4人で美術館の入り口をくぐった。

 奴と池森先輩との間で、どう話がまとまったのかは知らないが、あたしとエッちゃんは奴の持ってきた招待券で、男どもは受け付けで入館券をそれぞれ買って入った。

 明るく、広く、吹き抜けのエントランスホールからエスカレータで2階に上がったところで、エッちゃんに耳元で何か囁きながらエスコートして一般順路とは違う展示室へ池森先輩は消えてしまった。
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