あたしが髪を切ったわけ
 柿崎君とはそれっきり口もきいていない。別にいいか、クラス違うし、好みでもない。

「あ、あれとこれとは全然違うじゃない」抗議してやる。

「おミツ、あんたね、せっかく部長が券くれたんだから、その分だけでも部長と一緒にいてあげなきゃ、かあいそうでしょうが、あんたに惚れてるんだから」えーん、全然取り合ってくんないっ!

「いいかい、あれのせいで、あんたに声かけてくる野郎なんかほとんどいないんだかんね。その貴重な1人なんだから、ないがしろにしちゃだめよ、しっかりつかまえとかにゃあ。じゃ、またあとで、あたしもあいつをつかまえとかにゃ」

 最後に軽く1回ぽんとあたしの頭を叩いて、エッちゃんは、池森先輩を追って行ってしまった。

 うーん、みんなして、奴とあたしをくっつけたがってるみたい。

 なんでかな。ほっといてくれればいいのに。
< 43 / 89 >

この作品をシェア

pagetop