あたしが髪を切ったわけ
 理論的にあーだこーだはよく知らない。これまでの経験だけで確立してきたあたしの感覚。

 このあと全体的にブルーに移行する予定。あたしの絵の特徴として、描き始めと終りの、特に色に関しての変化だ。

 下塗りが乾き切らないうちに色を重ねて、下色を生かすのだ。

 だからブルーのイメージでもその中に赤のイメージが内在している。

 で、いわば、その下塗りが終わって、これからブルーを乗せるぞってところで、あたしはキャンバスとにらめっこを始めたのだ。

 インディゴ、コバルト、ウルトラマリンライト、セルリアンブルー、ブルーコンポーゼ、ブルーグレーなどの色がてかてかのパレットに乗っている。

 あたしはパレットに残った絵の具は拭き取ってしまうので、何年も使い込んだパレットの表面は鏡のようにてらてらとしている。覗き込めば自分の顔が映るくらいだ。

 左手でパレットを持ち、右手に愛用のナムラの黒の10号の丸筆。

 ほとんど丸筆しか使わない。

 やりたいことはこれだけで事足りてしまうからだ。15号を筆頭に5本ある。
< 5 / 89 >

この作品をシェア

pagetop