女の子のミカタ
ポケットに手を入れて小銭を探っていると無造作に入れていた壱万円札がハラリと落ちて、いたずらな北風に掠われる。
「あぁぁ!」
給料日前のなけなしの金!絶対に助けに行かなくては!俺は駆け出した。
けど、風に掠われた壱万円札は、なかなか捕まらない。まるで、何かに操られているみたいに宙を舞う。
必死で壱万円札を追い掛けていたらあまり通らない道に出てしまった。
街灯も少なくうっすら暗い道……
その一角に小さな社があった。
誰にも気付かれない場所に佇んだ社はどこか神秘的に感じた。