雨のリフレイン
そこへ、医師との話を終えた母がやってきた。
憔悴した母の様子に、一瞬、柊子の顔が強張る。
やはり、楽観視できる状態ではないのだろう。
「八坂さん、こちらどうぞおかけください」
父の枕元に、パイプイスを出してくれたのは水上だ。
「あなた…研修医?」
母は、水上を見てボソっとつぶやいた。
「はい」
「そう…忙しいのに、ついていてくれてありがとう。
柊子、お父さんとお話できた?」
「だってお父さん寝てるし」
肩をすくめる柊子に、しょうがない子ねとつぶやいてから、母は父の寝顔をじっと見つめた。
いつも、元気で笑顔を絶やさない母の頬を涙が伝う。
「お母さん、とりあえず着替えない?
その格好じゃこの病院のスタッフと間違えられるんじゃない?
私、お母さんの着替え、取ってきてあげるよ」
母の涙。
見てはいけない気がして、この場から離れる言い訳をした。
「お父さん、皆心配してるから。
早く起きてよね〜。
じゃ、行ってくる」
柊子は極めて明るく父に声をかけて、集中治療室を出た。
廊下の窓に雨粒がついていた。
いつのまにか、雨が降っていたようだ。
ーー雨、か。
雨が降っている今なら大丈夫。
憔悴した母の様子に、一瞬、柊子の顔が強張る。
やはり、楽観視できる状態ではないのだろう。
「八坂さん、こちらどうぞおかけください」
父の枕元に、パイプイスを出してくれたのは水上だ。
「あなた…研修医?」
母は、水上を見てボソっとつぶやいた。
「はい」
「そう…忙しいのに、ついていてくれてありがとう。
柊子、お父さんとお話できた?」
「だってお父さん寝てるし」
肩をすくめる柊子に、しょうがない子ねとつぶやいてから、母は父の寝顔をじっと見つめた。
いつも、元気で笑顔を絶やさない母の頬を涙が伝う。
「お母さん、とりあえず着替えない?
その格好じゃこの病院のスタッフと間違えられるんじゃない?
私、お母さんの着替え、取ってきてあげるよ」
母の涙。
見てはいけない気がして、この場から離れる言い訳をした。
「お父さん、皆心配してるから。
早く起きてよね〜。
じゃ、行ってくる」
柊子は極めて明るく父に声をかけて、集中治療室を出た。
廊下の窓に雨粒がついていた。
いつのまにか、雨が降っていたようだ。
ーー雨、か。
雨が降っている今なら大丈夫。