雨のリフレイン
「何よ。彼なら私にピッタリでしょ」
「初対面で、ご自身のお名前すら名乗らず、いきなり私を非難するなんて、ちょっと非常識じゃありませんか?」


まさか、そんな言い返しが来るとは思っていなかったのだろう。
落ち着き払った柊子に、三浦は顔を赤らめて怒りを露わにする。


「な…っ!看護学生の分際で、私を知らないの!?私に意見するなんて、なんて生意気なっ」
「内科の三浦先生、ですよね?
お名前なら聞いたことはあります。
それでも、お話するのは初めてで。先生が看護学生に過ぎない私の事をご存知だということに驚いております」


逆上する三浦。冷静に対応する柊子。


「相手の周辺調査は基本よ。
水上先生は、女性問題も金銭問題もなくてクリーンだと思っていたら、あなたが洗濯物や料理の入った皿を持って、彼の部屋を頻繁に訪れているとわかった。
それで、あなたのことも調べたわけ。
水上先生の身の回りの世話をするかわりに、母親の治療費を払ってもらっているんでしょう?」


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