雨のリフレイン
浮かれる母の姿に、柊子は呆れつつも仕方ないといった表情を浮かべる。

母は、この日を一つの目標に、体調を整えてきたのだ。母のはしゃいで喜ぶ顔が、嬉しい。

柊子はといえば、写真撮影には何の感慨も湧かなかった。
母の望みを叶えることが一番。それだけ。

愛されて、望まれた結婚でもない。
水上の慈悲で法律上成立しただけの夫婦である。
毎日が忙しいせいもあるが、普段は水上と結婚していることを忘れて生活していた。

だからウェディングドレスも、コスプレくらいの気持ちしかない。


それくらいにしか、思っていなかったはずだった。



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