雨のリフレイン
雨が全て隠してくれるから
ーーあの子、絶対わかってなかったよな。自分の父親が危篤状態だと。
すぐに目が覚めると思っているんだろうな。
水上は、医局で小さくため息をついた。
「あれ?洸平(こうへい)浮かない顔だねぇ。
さっき救急で運ばれた心筋梗塞の患者のせいかな?」
水上の隣の席。
学生の頃からの友人、一条翔太(いちじょう しょうた)が、水上のため息に気づいて声をかけた。
「高校生の娘がいたんだけどさ。
多分、状況がわかってなくて。なんか、不憫に思えて。
はぁ。
俺、ちょっとコンビニ行ってくる」
「そっか、昼メシどころじゃなかったもんな。
じゃ、ついでに俺に、“焼きそばコロッケパン“買ってきて」
「了解」